コラム

2017.02.12

ウンチはなぜ臭い?

 オトナも子供も、毎日それとつき合いながらいつも素朴に疑問に思う。ウンチはなんでこんな臭いなんだろう、と。そう、ウンチは強力な臭気を放つ。

ウンチに含まれているのは食べもののカスと水分ばかりではない。たくさんの細菌も含まれている。
細菌の重量はウンチ全体の三分の一程度にもなるという。じつはウンチの臭い、この細菌と関係が深い。

これらの細菌はもともと大腸に棲んでいたものだ。
人間の消化管にはたくさんの細菌が棲みついているが、なかでも大腸はその細菌の種類も数も群を抜いて多い。胃の中では、細菌の数が消化液1gあたり百~千個程度、小腸下部で十万~一千万個程度なのに対して、大腸ではなんと百億個にもなるのだ。しかし、このたくさんの細菌は、大腸を正常に機能させるために重要な役割を果 たしている。

ある種の細菌が作り出す酪酸(短鎖脂肪酸の一種)は、大腸の粘膜細胞のエネルギー源として利用されている。粘膜細胞は、水分を吸収する働きをもつ組織だ。酪酸がなければエネルギー不足で充分に水分を吸収できず、ウンチは水分過剰で下痢状になってしまう。
そのほかにも酪酸をはじめプロピオン酸、酢酸など、細菌がつくり出す短鎖脂肪酸は、ウンチのpHを肌にやさしい弱酸性にしている。短鎖脂肪酸のおかげで肛門周辺が荒れずに清潔を保てるのだ、と考える研究者もいる。また、人間に必要なビタミン類をつくっている細菌もいる。このように腸内の細菌は、消化吸収が正常に行われるためになくてはならない存在なのだ。
一方で、独特の臭気をつくり出す細菌もいる。
小腸で吸収されずに残ったアミノ酸が、ある種の細菌によって分解されるとインドールやスカトールといった有機化合物、硫化水素、アンモニアなどが生成される。これらがあの悩ましい臭いの成分で、カラダにとって有害な物質でもある。
腸内細菌のうち、人間に有用な働きをしている菌の代表がビフィズス菌や乳酸桿菌、腸球菌など。

一方、臭くて有害な物質をつくり出す代表格がウェルシュ菌やクロストリジウムといわれている。これらの多様な細菌が、大腸内でバランスをとりつつ棲息しているのだ。しかし健康状態が崩れたとき、あるいは年齢を重ねるにしたがって、大腸内の細菌の棲息状況は変化する。臭気をつくり出す細菌が優勢になって、腸内が臭くなることが多いのだ。「今日のウンチはことのほか臭い」と感じたら、あなたの大腸の中もその悪臭で満ちている。消臭商品で臭いを消してしまおう、などと思わずに、しっかり鼻をきかせてほしい。その臭いは、カラダの変調を訴えているからだ。
ところで、ウンチの臭いの成分であるインドールは、ジャスミンやだいだいの花の香りの一成分でもあり、微量 ならかぐわしい香りとなる。また、スカトールも純粋な状態で微量ならば、芳香を放つ。そこで、かつて「ウンチ香水」なるものが売られていたこともあったのだが、やはりあまり衛生的という感じはしないよね。

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